「あいつの父親は酒癖がもともと悪かったんだけど、そのせいでさらにひどくなって…。あいつが小学生の時に事件起こして刑務所に入った」


そんなことがあったなんて、全然知らなかった…。


「だからあいつは誰かに愛されることを知らない。まぁ…俺らも同じだよな…」


だから…。


あたしは天翔のあの深く悲しみに沈んでいて、どこか切なそうな光を失った瞳を思い出した。


「でもあいつ、美桜に出会って変わったんだ」


「あたし…?」