【完】姫桜〜君の隣で花を咲かす〜

「しっかし、よくここまで調べたよな…」


「俺を誰だと思ってんだよ?」


聞こえないように呟いたつもりが、聖夜の耳には届いていたようで。


自信満々の皮肉たっぷりの言葉が返ってきた。


悔しいけど、聖夜の情報網がすごいことは確か。


これだけは認めなければならない。


俺は子供のように笑う聖夜に、表情を緩めた。


しかし、すぐにまた俺は顔をしかめた。


「当然だろ」と笑う聖夜の腕に、昨日まではなかったはずの、ヤケドのような傷があったからだ。