だからあたしは女子が苦手なんだよな〜…。


「しょうがない…行くか…」


勇気を出して、校舎に向かって1歩踏み出す。


普段、絶対先輩の教室にいかないあたし。


それなのに、今日は何故か届けにいこうと思った。


自分でもよくわからないけど…。


なんかもう一度、松村天翔に会いたかったんだ…。


どこか悲しそうで、光を失ったような瞳。


あたしと同じだったから…。


あたしはゆっくり校舎に向かいながら、松村天翔の瞳を思い出していた。


この時あたしは気がつかなかった。


松村天翔と話しているところを、ずっと誰かに見られていたことを…。