【完】姫桜〜君の隣で花を咲かす〜

それを見て、俺は言葉に詰まった。


「いや、なんでもねぇ…」


俺が言うと、美桜はタメ息をついた。


「じゃあ、あたし帰るよ?」


「は? 待てよ」


「ならさっさと用件言ってよ」


もしかして俺、はめられてる…?


こいつといると、本当に調子狂う…。


「何もないならあたし帰……―キャッ…!!」


俺は歩きだそうとした美桜の腕を掴み、自分の腕の中に引き寄せた。


俺の腕の中で、美桜は顔を真っ赤にしている。