俺は軽くため息をついて、立ち止まった。


「松村くん…?」


俺は振り返ると、女をギロリと睨んだ。


ビクッと女の体が震える。


その瞬間、教室中の空気がピーンっと張りつめる。


「……」


俺は女を冷めた目で見下ろし、ゆっくりと体を戻して机に向かう。


女は俯いたまま、固まって動かない。


教室のどこかで、女子がヒソヒソと話しているのが聞こえてくる。


「何? 調子乗ってんの?」


「相手にされるわけないじゃん」