【完】姫桜〜君の隣で花を咲かす〜

あたしは天翔にギュッと抱きついた。


天翔の背中は大きくて温かい。


あたしに上着を貸してくれている、天翔はもっと寒いだろう。


「…天翔、ありがと」


あたしは天翔に聞こえないように呟いた…―。






「あの…これ、ありがとう」


あたしを家まで送ってくれた天翔。


あたしは貸してもらった上着を返す。


「別に」


相変わらず素っ気ない態度…。


でも、知ってるよ…。


天翔は本当はすごく優しい人だって。