【完】姫桜〜君の隣で花を咲かす〜

あたしがハハッと笑いながら言うと、天翔もフッと微笑みながらあたしの頭を撫でた。


「俺もわかるよ」


「えっ?」


俺もって…?


それって、もしかして…。


「俺も親いねぇから…」


今にも消えそうな声。


天翔は複雑そうな顔をしていた。


その表情には、寂しさと怒りが入り混じっていた。


「…へぇ」


そんな天翔になんて言っていいかわからず、あたしは俯いて相づちをうつ。


天翔の光を失ったような瞳の原因は…これなのかな?