【完】姫桜〜君の隣で花を咲かす〜

「大丈夫なわけねぇだろ」


サラッとそう言う天翔。


相変わらず表情ひとつ変わらない。もう少し焦りなよ…。


「ほら、見つかる前に乗れよ」


「…え?」


キョトンとするあたしに、天翔はため息をこぼす。


「乗りたいって言ってただろ?」


確かに…。


天翔たちの溜まり場に言ったとき、そう言った気がする。


覚えてたんだ…。そう思うと、ちょっぴり嬉しかった。


「はやく乗れよ」


天翔はバイクに跨がり、あたしを急かす。


乗れって言われても…。