【完】姫桜〜君の隣で花を咲かす〜

「うるせぇ連中、行ったか…」


バイクはあたしの横で止まり、運転していた人物がメットをはずしながら呟いた。


「天翔…? なんで…―」


そこまで言いかけて、昼休みの出来事を思い出す。


そういえば、放課後約束してたんだっけ…。


すっかり忘れてた…。


「忘れてたなんて言わせねぇからな」


先に天翔に言われ、あたしは返す言葉がなかった。


「…学校の敷地内にバイクで入って大丈夫なの?」


ちょっと不機嫌な天翔とは目を合わさずに、あたしは話題を変えた。