さっきのは冗談だったにせよ、西陵の連中から逃げてここにきた美桜を、一人で帰すには抵抗がある。


「うん…大丈夫…」


さっきのを思い出したのか、美桜は力なく笑った。


俺が聖夜を見ると、聖夜は「送ってやれよ」と目で合図してきた。


帰ろうと歩き出す美桜を、俺は呼び止めた。


「待てよ…!!」


「…何?」


「やっぱ送る」


「え…? いいよ、悪いし…」


「別に、俺が送りたいだけだし」


「でも…」


躊躇する美桜の手を掴んで、俺は歩き出した。