段々蒸し暑くなってきた5月下旬、昼休みに自販機からジュースを買って蒼の元に戻ろうと、階段を上がってたら、上から達馬が俺を見つけて「空っ、速攻クラスに戻れっ!蒼が大ヤバイ!」と叫ぶ。


俺は達馬に手を上げて答えると急いで教室に戻る…と人が集まってる。


「蒼っ!」


姿は見えないがとにかく蒼を呼んでみる。


俺の声で集まってた何人かが退いてくれて、中心にいる蒼と3年の先輩が見えた。


『女にだらしない、飽きたら捨てる』って言われてる隼人先輩(はやとせんぱい)だ…。


蒼の手首をつかんで何かを言ってる。


「蒼っ!」


もう一度呼べば、「空ぁ~」と情けない声が聞こえる。


目の前まで行き、蒼を掴んでいた先輩の腕を俺が掴んで引き離す。


「イテェなぁっ!離せよっ」



当然のように先輩が抵抗する。


「先輩…俺の彼女に何のようですか?
俺らこれから食事なんで、失礼します」


掴まれた手首を離された瞬間に俺の後ろに隠れた蒼は、小さな手で後ろから俺のシャツを掴んで静かにしてる。


教室に入ろうと蒼の方を向いて促してると、肩を捕まれ引っ張りながら「お前の彼女とか、かんけ~ねぇんだよ。」と言う。


「いや、先輩の行動は明らか
関係あるし、やめてください。」