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集中治療室から出て少しひらけたところにある椅子に座る。


既に窓の外は暗くなり待ち合わせから六時間以上経っていたことを何となく理解した。


「で?」


陸也が話をそくす。


「そうね…聞いたままを伝えるとね…」


星があまり見えない夜空を見ながら静かに話始めた蒼の母親。


「命に関わるような怪我ではないって。
まず、そこは大丈夫…。
そしてね…ナイフが、刺さった場所、
下腹部ね…
ナイフの刃は20㎝近くあるもので、
かなり勢いよく、ほぼすべての部分が
刺さってしまった…
そして…骨の間をすり抜けるように
蒼の…蒼の大切なものを…
傷つけた…」


「子宮……を…」


俺と陸也は目を見開き、母親を見つめる。


「端のほうらしいのだけど…ね。
卵菅もかすったそうでね。
それがこれからどんな風に蒼に影響するのか、
病院側も、予測がつかないそうよ。
なんといっても、卵巣が既に1つで
さらに、子宮と卵菅も傷がついて…」


男の俺たちにはこのときの蒼の母親の苦悩は正確には理解できてなかったと思う。


でも、何を憂いているのかは分かった。


「俺は…たとえ蒼が妊娠…
子供を望めなくったって、いい、です。
蒼が…生きて…俺と生きてくれるなら…」


まだ、16のガキだけど精一杯心から、真剣に伝えた。