「俺はさ、スケボーしてるから、
きっとバランスいいぜぇ~」


なんていいながら、「スタートっ、1、2、3…」と持っていたサッカーボールを頭に乗せてゆらゆら…


ひとりで「うわぁ~っ…」とか、「オワッ?」とか叫びながらフラフラバランスをとる。


「あんた、バカみたい…」


一言めがこれで、俺は普通にムカついて怒ってしまった。


すると、怒られてるのにどこか、嬉しそうな瞳をしてこちらを見てる。


そしてポツンと呟く。


「みんなさ…俺を見てない気がする…」


6年生の言葉ではうまく言い表せなかったのか、「ん、違う…機嫌とりする?か?おどおど?…」なんてブツブツ言い直してる。


そいつの言わんとすることが、何となく分かった気がした。


☆☆☆


それから俺たちは友達になった。


そいつは相川柊(あいかわしゅう)といった。


そして、食事制限があることも分かった。


休憩室で他の子が食べているクッキーを横目で羨ましそうに見ていたが、俺の視線に気が付くと「あんなさ、お子さまな女子みたいな食い物、俺はキライ…」と早口に言った。


その時に何となく先が見えた気がした。


俺が頑張れて笑顔でいられて、隣にいるやつも笑顔に出来る、そんな未来が。