彩穂は慌てて振り返る。 すると彩穂の数メートル前に、雷が壁に寄りかかって立っていた。 「おめでと」 雷は静かにそう言って、下を向いたまま切なげな笑顔を見せる。 その表情に、彩穂の表情も切なくなる。 「全国も、恋も、勝ったじゃん」 雷はそう言って、前髪を掻揚げた。