「先輩に大切な彼女さんがいるのは分かっていますし、もちろん彩穂に振り向いてくださいと言っているわけでもありません。そんなこと言いません。言いませんから…今始まった彩穂の全国大会、見に来て頂けませんか。もし予定がなかったらですけど…彩穂、絶対泣いて喜びます」 風磨は口元を押さえた手を離して、代わりに口の端を結ぶ。 もう少しで、玲奈が来る。 通話を、切らなくてはならない。 「彩穂の元気の源は、先輩の全てなんです」 その言葉を言われた瞬間、風磨に何か重いものがのしかかった。