その時、彩穂は何かを思い出してポケットを探った。 雷に騒ぐ部員の群れから一歩下がって、2階席の雷に向かい、あのパワーストーンを見せた。 数秒後、雷は彩穂がパワーストーンを持っていることに気がつき、優しく微笑んだ。 彩穂も優しく微笑み返そうとすると、 「あー!今私に微笑んでくれた!」 「えっ!私に微笑んでくれたと思うんだけど!」 という部員の声にかき消された。 一歩後ろに居る彩穂の存在を知らない部員たちは、まだ騒いでいた。