「先輩」 振り返った廊下にいたのは、コートを着てマフラーを巻いた雷だった。 これから下校することが、言わなくても分かる服装だ。 そんな雷が、小走りで彩穂に駆け寄った。 「あのさ…全国大会のことなんだけど」 彩穂は、雷の言葉に反応して顔を上げる。 もし、風磨のことが関係していたらどうしよう。 今にも耳を塞いでしまいたい衝動に襲われながら、雷の言葉を待つ。