この時期の体育館は寒いもので、スポーツ時に流す汗のせいで尚更寒気を感じる。 それでも彩穂はドリブルをしながら、頭の中にずっと響く風磨の声を聴いていた。 『彩穂』 そう簡単に呼ばれることのなくなった、自分の名前。 確かに特別な存在でいた、彼と自分。 もうこのまま、永遠に結ばれることはないんだろうか。 想い続けても届かない想いは、この世にいくつ存在するのだろう。