「あー…あ!今走ってる?見える。俺のこと見える?」 風磨が、大きく手を振った。 そして、彩穂と麻紀と美優が振り返ると、そこにはやはりあの子の姿が見えた。 玲奈だ。 彩穂は必死だった。 まだ行かないで。 もう少しだけ、傍にいさせて。 いつもみたいにふざけあうことだけでいいから、お願い。 そう願っても、口に出すことはできなかった。 玲奈は、彩穂よりもっと風磨に近い存在だった。