***雷side*** ――数分前 「何があったんですか、彩穂に」 「平山先輩っ、彩穂追いかけましょう!」 葉山と楠木が、俺の前まで迫ってきてそう言った。 それでも、答えることはできなかった。 俺が黙っていると、楠木が走り出そうとした。 「ちょっと待って」 俺は楠木を呼び止めた。 もう、話すしかない。 今楠木が宮岸のところに行くよりはマシだ。