たんぽぽ

あたしが話し終えると、茜くんは静かに笑った。


「俺みたいな奴でも、好きになってくれてありがとう。
 俺も、五十嵐のこと、大好きだった。だから、少し
 の間だけでも、付き合えて楽しかったよ」


その言葉が聞けただけで、あたしは充分だ。


ねぇ、そうでしょ?



『ありがとう。茜くん。本当のことを喋ってくれて。
 宮原くんとあえたのも、あなたのお陰。
 本当に感謝してるよ』


「あ、あんたたち、本当におかしいんじゃない?
 真奈美がそこにいるわけないじゃない。
 もう、知らないからね!?」



それまで黙ってみていた奈々は、
一人でどこかにいってしまった。


『やっぱり、奈々には届かない……んだ』


あたしが残念そうに俯くと、宮原くんがあたしの頭を撫でた。


「大丈夫。茜がわかってくれたんだ。今は
 それでいいんじゃねぇ?」


『そうだね。ありがとう』



「なぁ、茜。もういいだろ?
 五十嵐の体がどこにあるのか、教えろよ」


「あ、ああ。そうだな。勿論そうするけど…。
 五十嵐は、見てて辛くない?」


『え…。うん。大丈夫』


あたしの遺体…。


遺体が消えたって恐れられてた真実。


あたしが探しても探しても見付からなかった。



それを茜くんが知ってる…。


正直言うと、怖かった。だけど、



ないまま、このままを過ごすのはもっと怖い。



「そっか、こっちだよ」



茜くんは真剣な表情を作ると、

あたしと宮原くんを連れ出した。