たんぽぽ

もう夜だ。


気付けば警備員さんが門を閉めて、
校舎内もすべてが暗くなった頃、


あたしは屋上で眠ってた。



ふっとため息をつく。



『あーあ。何で起きちゃったかなー?』



半端に起きると、急に寂しくなる。

別に何が悲しいとか、そういうんじゃないけど、
自然と涙が出る。


だから、寝てしまったら最後、
朝まで目覚めなければいいのにって、いつも思う。


半ばイライラするようなもどかしさに襲われて、
あたしはフェンスを超えて、座った。



久しぶりだ。夜に、こうしているのは。



あたしは静かに目を閉じた。


微かな夏の夜のにおい。
遠くで響く、電車の音。



『宮原くん・・・』



そっと呟く。


そして、あたしはまた口を開いた。



『涼介・・・くん』








「え・・・俺・・・?」





え・・・?




何?




あたしはびっくりして、
閉じていた目をあけた。



『み、宮原くん・・・っ!?』



いるはずのない、
戻ってくるはずのない人がそこにいた。