「樹里がひどい目に合った後に、不謹慎かもしれないけど、オレに電話がきたとき嬉しかった」


「ごめんね。迎えにこさせて」

「いいよ。どうして、オレに電話くれたの?」


「それは…」

「まぁいいや。帰ろうか?」

「うん」


どんな理由であれ。
オレを必要としてくれたことには変わりないのだから。


樹里の手を握りしめたまま運転した。


アパート前にあっという間についてしまった。

車を停める。

「もう大丈夫か?」

「うん。大丈夫」

「くれぐれも、オレ以外の男の誘いを受けるなよ。分かったか?」


「分かった」

樹里はクスッと笑った。