「じゃあ、携帯教えて」

樹里は頷いた。

キスをお預けくらったんだ。
いいよな?
その変わりに携帯聞いても。

そして、樹里と番号とメアドを教え合った。
オレは帰ることにした。

「おやすみ。樹里」

「おやすみなさい」

玄関のドアを静かに閉めた。

樹里を抱きしめたことにより。
樹里に携帯を教えてもらったことにより。

少しだけ、距離が縮まったような気がした。