丁度一年後。私はようやく佐久子を振り向かすことが出来たが、
その幸せも一年半後の夏に佐久子の他界という形で幕を閉じ、長く続かなかった。

だが私は佐久子と出会ったことを誇りに思う。
心残りは佐久子の為に新たに話を書く事が出来なかった事だけだろうか。
だからこの話を書き終えた頃、佐久子の為に話を書こう。
約束は果たせたが、その約束も佐久子がいなければ叶わなかったこと。そのお礼も兼ねて。
今日も私は鉛筆を握る。