無言のまま一歩一歩冬音の方に近づいていく、不思議な事に彼岸花がさあっと砂ように消えていった。



真冬が来るのを待っていてたかのように。



「ずっと、守っててくれたんだ。ありがとう」



彼岸花に礼を述べ、そっと膝をつく。



「姉さん……ただいま、やっと会えたね。本当の姉さんじゃないけど、僕らは同じ存在で、姉弟のような存在だから、やっぱり僕にとっては姉さんだった。

ヒトが“神隠し避け”のために生んだもの。結局のところ、神隠しと同じ存在でもある。ヒトが生んだ対神隠し兵器……」



冬音を抱きしめる。



「緋葉なら大丈夫。みんな大丈夫、もう何の心配もしなくていい――」



すうっと身体が闇へと溶けていく。



真冬は最後に呟いた、これは一か八かの賭け。



「シクカミカシクカミカ……」






“おかえりなさい”






あの優しい冬音の声が聞こえたような、そんな気がした…………