そして、少女は緋葉を見ると華のように笑った。



「緋葉を苦しめるもの、縛るもの、すべて壊したわ。ねぇ緋葉、あなたを傷つけるものすべて、壊しましょう……?わたし、人身御供にされるあなたの匂いを識って気に入ったから、欲しくなったの」



それから、少女はこう言った。



「あなたの命をわたしが助けてあげる。そのかわり……あなたは神隠しとなり、ヒトを呼びヒトを神隠しへと変えうるものとなる。――冬音を、助けたかったらどうすればいいか……あなたならわかるでしょう?」



雨芭が叫ぶ。



「駄目だ!!!」



緋葉は答えない。冬音は雨芭を逃がせなかったショックからか、何も届いていないようだった。



緋葉は前を見据えはっきりと頷く。



「わかった」



雨芭はなんで、と唇が震える。そのままゆっくりと姿は消えていき、残ったのは緋葉と少女と、冬音。



「ふふふふふ……裏切りは絶対許さないから」






緋葉は神隠しとなった。






どこにも還れないものとして。