「緋葉、あれ……」



雨芭の視線の先には冬音に冷たい視線を向ける、日本人形のような少女。



冬音の巫女服はところどころ破け血で汚れていた。冬音の呼吸は荒く、とても疲れているように見えた。



「冬音!!!」



緋葉の声に冬音がびくっと反応する。そして、緋葉の姿を見た瞬間希望か絶望か、どちらとも言えないような表情を浮かべた。



「……緋葉、わたしもう、巫女としては役に立たないの。最後の力は……シクカミカ、シクカミカ、我が願いに応えよ」



しかし、何も起こらず冬音の顔は青ざめていく。



「ど、どうして……」



くすくす少女は笑う。



無数の死体の中笑う少女は異常だった。



「無駄よ。その雨芭、って子……逃がしたかったのでしょうけど、もう捉えてしまったもの。じきにここからは消える」

「……っ」



雨芭の顔から血の気が引いていく。