神隠しに遭ったのだと…………






手がかりも理由もなければ、事件らしい事件が起きた事のない村は神隠し事件を境に出歩く人もいなくなり――よりいっそう閑散とした。






そんな中、彼岸の夜ある一人の美しい少女が現れた。






【彼岸の巫女】だ。






彼岸の巫女は様々な空間を行き来できる、神隠し除けの巫女。






巫女の力により神隠しは終わり、巫女は次の村に渡っていった――――






雪芭がそこまで読むと隼政は首を傾げた。






「彼岸の巫女がいたら、神隠しは終わるって事か?」

「……終わらないよ」






真実に近づくと、どうして人は知りたくないとか怖いと思うのだろう。






雪芭は隼政に気づかれないよう、何度目かわからないため息をついた。