状況が状況なだけに思わず冷や汗が流れる。オカルト話で花が咲いた事は多々あるが、体験した事はない。体験したくて色々試した事は……あるかもしれないが。



動かない隼政に仕方ないとばかりに雪芭が拾う。



「……」

「ゆっきーどうした?」



何も言わない雪芭を不審そうに隼政が見ると、ようやく口を開いた。



「神隠しの歴史書って書いてある」

「つまり……神隠しの伝承が書いてある、って事だよな!?」

「うん。でも、変だと思わない?過去に確かにあった神隠しの伝承が、今はないなんて」

「お前の見てたあのサイトは?」

「……ああ、神隠し伝承記?今考えると、あれは意図的に作られたサイトじゃないかって思う」



雪芭は掃除機を適当に片付けベッドに軽く腰かける。どうやら、隼政と同じく掃除する気を無くしたらしい。



隼政も雪芭に釣られるように隣に座り慌てて言い募る。



「だ―か―ら!どういう意味だよ!?」



雪芭はやれやれとため息をつく。こういう時、何を言っても駄目なのをもう知っておりある意味の諦めだった。