ふとある事を思う。



「……なあゆっきー」

「何?」

「ここで俺たち自身やあゆっちと遭遇する可能性、ってあるのか……?」

「ややこしい話をするね。まあ、あるとも言い切れなければないとも言い切れない」

「そうだよなあ。未来が変わったりしないかな?」

「なんの影響もないとは限らないけど、関わらなければいい話じゃないの」

「そんなもんなのか?」

「うん。大体夕羅は未来が変わろうが、何かが壊れようがどうでもいいんだ。結局困るのは、オレたち人だけ……」



雪芭は再び掃除機のスイッチを入れさっきまで話していたのが嘘のように、何事もなかったように手を動かしている。



隼政は何もする気が起きずベッドに横になろうとした時、すぐ近くにあった本棚からバサバサと本が落ちてきた。



隼政と雪芭は目を合わせる。






おかしい。






本棚にぶつかってもないのに、きちんと整理整頓された本が、勝手に落ちてくるなんて。






まるでホラー映画や小説で見る怪奇現象のようだった。