何も言えないでいると、緋葉が不思議そうな顔をする。



「真冬を知ってるのか?」

「……はい」

「そうか。神隠しに遭うのは望んでないのに、神隠しを引き寄せる性質の者。これが普通だが、希に自ら神隠しに遭う事を望む者がいる」



まさか、と歩は思った。



しかし、緋葉はそれっきり黙ってしまう。不審に思い歩が口を開きかけた時、緋葉が苦々しげに言った。



「現実で何かあったらしい……」





何が――と、歩は心の中で呟く。






聞かなくてもわかっていた。