「シクカミカ、シクカミカ。――闇を退けろ」



 なんの変化も見られない。もっとこう、派手なものを想像していたが、拍子抜けだ。これは愛してやまないアニメの影響が強いせいだろうと、自分を納得させる。

 
 多少残念ではあるが、現実はそんなものかもしれない。



「今のは……?」

「僕が。神隠しに遭った時、彼が教えてくれたものだよ」

「は? え? 今、なんて……」

「うん。今も姿は変わってないだろうけど……見えてきた、社だ」


さらりと告げられた信じられない一言。隼政の頭はついていかない。

真冬の言った通り社が見える。


そして、地面に倒れている少年と、狛犬に乗る少女が目に入る。 ――少女、と呼んでいいのか。



「雪芭!!!」