何故かこの町の歴史について触れるものが一切なく、雪芭は唇を噛んだ。



「触れさせないか、触れさせたくないか。こうなると、この町で調べる方法なんて多分一つもないんだろうな……」



雪芭はお手上げだと思いつつ、必死に考える。



そしてある事に思い至った。



「……皮肉だな。オレが、考え導きだされた場所であり、歩が消えた場所にいつの間にかたどり着いてた、なんて」






隠れ神社が闇夜に、ポツリと浮かんでいた――






夜の神社は想像以上に不気味なものだった。状況が状況だから、仕方ないのかもしれないが。