どれくらい時間は、過ぎたのだろう。






ずっと背景は夕闇のまま変わらず、お社とお社を囲む無数の彼岸花しか、ない。



感覚がおかしくなりそうだった。



歩が思い出す事は隼政と雪芭の事で、二人が無事ならよかったと思う。



思考すらめんどくさくなり、歩はお社の壁にもたれかかったまま、無意味な時間を過ごしていた。



ここでは時間の感覚もわからないから、そんな事気にする必要などないかもしれないが。



その時、空から声がした。



「大丈夫か?いや、そんなはずないな……お前はまだヒトに近いから」



見上げれば、お社の屋根に緋葉がいた。



いつも屋根の上にいるなあ、とそんなどうでもいい事を頭の片隅で思う。



そんな事今はどうだっていいのに。意味のない事ばかり考えてしまう自分に、歩は苦笑した。