神隠しの半人前……言われた意味がよくわからず、夕羅は困惑した。



いかにも何かありそうな少年が名乗る。が、それは奇妙な光景だった。



「あ――なんて名乗るかな……“名前”なんて、俺には意味がないけど、お前たちには少なくとも意味があるんだったな」

「……意味わからないわ」

「別にわからなくてもいいよ、どうせ覚えてないんだし“俺の事”。“神(ジン)”が適切かな、うん。俺の事は神でいい」



“自分には名前が意味ない”



どんな意味合いで言ったのかわからず、夕羅はますます混乱するだけだった。



「お前がここに来るとわかっていたから、ここで待っていた。知らないままじゃ、かわいそうだから教えてあげようかなって思って」



飄々としていて、まったく的を得ない神(ジン)にますます夕羅は不信感を募らせる。