「夕羅なんて生まなければよかった!あんな薄気味悪い子、私の娘じゃない……!!!」
優しかった母がある日突然気が狂ったように、泣き叫び否定する。
“生まなければよかった”
毎夜下の階から、呪いのように叫び続ける母を父がなだめるが、それは逆効果で余計、母は酷くなっていった。
元から夕羅は人見知りが激しく引きこもりがちな生活を送り、優しかったのは母だけで、周りは冷たかった。
実の父でさえも、まるでそこにはいないように扱っていたくらいである。
夕羅はある日壊れてしまった日常を、客観的でしか見ていなかった。
それはまるで、他人事のようだった。