血だらけの床や壁。



それさえも雪芭にはどうでもよく、歩と隼政の亡骸を引き寄せ、涙を流した。



殺した自分が泣くのはおかしいな、と雪芭は失笑した。今の自分は、友達殺しの犯罪者以外の何者でもなく、誰も同情なんかしてくれない。



例えどんな事情がそこにあろうが、間違いは間違いで認めなければならない。



雪芭は疲れきった心でぼんやり考える。



現実と言うよりは夢みたいだと。友達を殺したのに、記憶も感触も確かに残っているのに、どこか他人事だった。



寝て明日になれば、何事もなかったかのように明日が来て、歩と隼政と…………



思い浮かべた戻らない日常に雪芭の瞳から、大粒の涙がぼろぼろ零れ落ちる。



歩は隼政を庇い、隼政は自ら死を選んだ。



もっと頑張れば他にも道はあったのかもしれない。雪芭は二人の死骸にしがみつく。耐え難い後悔と苦しみに襲われながら、雪芭は幻影を見た。






歩と隼政の。