その笑いが一体何を意味するのか考えたところでわかるわけもなく、隼政は混乱した。



不安だけがどんどん募る。



「殺すわけないじゃん。私、鏡ちゃんから神隠しの被害者をサポートするように最後言われてたの。なんで私にそんな事頼むかなあ、鏡ちゃんって残酷だよ。雨ちゃんも、雪ちゃん残してくなんてバカだよねぇ」



熊野明日香から零れた言葉は意外にもまともだった。雪芭の事を生前熊野明日香は聞かされていたのかもしれない。



それでも雪芭の表情は一切変わる事はなく、冷たいものだった。



「一緒だよ。もう、どこにもいないんだからさあ…………」




雪芭はふらふらとキッチンに消えたかと思うと、手には白銀に輝く包丁を握りしめて戻ってきた。



「雪芭…………?どうしちゃったんだよ、お前おかしいよ…………」



隼政はこの光景に目を疑いたくなった。雪芭の事を初めて、あだ名じゃない呼び方で呼んだ。



おかしいと友達に言う自分も信じられなかった、あんなに仲がよかったのに。



壊れてしまった。






何もかもが、壊れてしまった。