人はいったん築いた関係が、信頼で結ばれた絆が、壊れるなんて、誰も夢にも思わない。



今まで共に過ごしてきた時間が走馬灯のように駆け巡る。



隼政も雪芭も冗談だろと笑えなかった。冗談だと笑うには、あまりにもかけ離れた日常を体験をしてきた。



夢だと思いたくても、本能がこれは現実だと告げている。何も知らない人からしたら、あまりにも馬鹿馬鹿しい事だった。



“神隠し”なんて一体誰が本気で信じるのだろう。隼政も雪芭もオカルト好きでなければ、こんな事信じない。



そんな二人を見ていた歩が申し訳なさそうに言った。



「すみません……何も、覚えてなくて」



二人は何も言えなかった。あまりのショックで、思考が追いつかない。夜の神社でこうやって少年三人がこうしてる事自体怪しく、周りから見たら勘違いされそうだ。



不審者とか少年犯罪とか。



こんなものに間違えられたら間違いなく誰も近寄らないし、離れていくだけである。