“彼岸花”だった頃の記憶は、小さな幸せと大きな悲しみで色塗られている。



それでも、今思えば幸せだったような気がする。



自由に夢を思い描けて、緋葉と雨芭のいた毎日は輝いてた。そして、緋葉の大切な人に“人の形”をもらって、もう一つの世界、現実と呼ばれる場所に送られて――



やがて出会う。



“熊野明日香”という、奇妙な少女に。