雨が上がっても彼岸花の心に降る雨が止む事はなくどんなに必死に願っても、神様が彼岸花の願いを叶えてくれる事はとうとうなかった。



こうでもならないと気づけない自分のバカさ加減に苛々する。



『神様なんてどこにもいない。村人が、神様が、緋葉を…………』



その先は言葉にならなかった。



彼岸花の想いとは裏腹に時は一刻一刻運命の時へと近づいていく。残酷で悲しい悲しい運命に。



そして、悲劇は突然やって来る。



風が血の臭い、逃げ惑う村人の殺される、死にたくないという悲鳴、薄笑いを浮かべながら村人を殺す着物を纏った少女の笑い声――を、風が運んできた。



さっき雨芭が緋葉の元へ走っていった。彼岸花は一体何が起きているのかわからず混乱していると、まっすぐこっちに近づいて来る足音にはっとする。



その姿を捉えた時、彼岸花は息をのんだ。