「今、行くから……」 水露は立ち上がると、三人で暮らした思い出の家をふらふらしながら出ていった。 水露は壊れたようにぶつぶつ言いながら、そのまま闇の中に消えていった。 “戻って来ないなら、自分が行けばいい” 水露の姿を見た者は誰もいなかった。