「あ、あれ?」


コートにはただならぬ空気が漂う。


何?


そして.....


「許さない!!」


「私を泣かせた代償は大きいわよ!!」


などと叫びながら数多の女子がコートに走って入って行く。


修羅場。

まさに修羅場だ。

昼ドラだ。


女子たちの中心をよく見ると田原先輩が.....


「あはは。ざまーみろ。」


いつの間にか私の隣に来ていた侑李くん。

可愛い笑顔を浮かべているが、目が笑っていない。


ちょっとびっくり。

さっきまでコートにいたよね?


「しゅっ修羅場だね。田原先輩、可哀想。」


「可哀想なんかじゃないよ。あれは、彩華先輩に手ぇ出した代償だよ。」


「え?」


私が田原先輩を哀れむと侑李くんはくすりと笑う。


どーいうこと?


「ちょっとね?昔騙され子たちに声をかけてみただけだよ?」


「......。」


腹黒い。

性格悪い。


この言葉たちは侑李くんのためにある言葉だろう。


愉快そうに田原先輩を見つめる侑李くんを見て寒気を感じる。


可愛いくせに。

こんなこと侑李くんファンが知ったらさぞショックを受けることだろう。