だけどなんだか悲しくないのよ。
むしろ超冷静にこの事態を受け入れている。
何度こんな場面をプレイしてきたことか。
ただ、原田さんと同じ顔をしていたから田原先輩が悪役キャラだって気づけなかったことが悔しい点である。
「怒らないの?」
黙る私を不思議そうに見つめる田原先輩。
そして続けて、
「それとも泣いちゃう?女の子だもんね?」
と言ってきた。
最低だよ、この男。
本当に基本的な悪役キャラ。
「ごめんね。俺、彩華のこと好きじゃなかったんだよね。」
「おーい。それを言うなよぉ。」
「もう少し夢見せてあげなよぉ。嘘でも愛を囁けよぉ。」
田原先輩の言葉を聞いて笑い出す男達。
笑いたいのはこっちだ。
「つまらない。」
ポツリとそう呟く私。
「え?」
田原先輩の顔から笑顔が消えていく。
そんな田原先輩に一言。
「基本的すぎてつまらない。ただ原田さんと同じ顔ってことだけがムカつく。それだけですよ。」



