それからケータイから私に視線を戻して、


「だから、ちょっとだけ意地悪。」


いつもの淳太くんからは想像出来ないほど意地悪な笑顔。

これからイタズラをする子どもみたいな。


ケータイを耳に当てる淳太くん。


「もしもし、侑李?」


侑李くんと電話?


「今、彩華先輩の家にいるんだ。お前このまま本気出さないと.....」


淳太くんが私の頭を優しく撫でる。

そして電話には入らない声で、「大きな声を出してください。」と言った。


何?

大きな声?


トンッ


「へ?」


ギシッ


ベッドの音がなる。

私は淳太くんに押し倒されていた。


え?え?

何、この状況。


「ちょっ!!?淳太くん!!?やめ....っ!!」



ちょっと待て!!

何この状況!!?


淳太くんは通話中のケータイを私の顔の横において私をくすぐる。


「あっ!!ほん..と、ちょっとまっ..て!!」


舌がうまく回らない。


くすぐったいよ!!


「わた..しっ!!これっ...ああ!!ダメ...っ!!イヤァァァァァァっ!!」


ブチッ


ツーツー



淳太くんがケータイに手を伸ばして電話を切る。



「アハハハハハ!!淳太くん!!げっ限界!!やめてぇぇぇぇぇ!!」


力の入らない手で淳太くんの腕を引っ張る。


私、こーいうのマジで弱いんだよね。


「彩華先輩すごいですね。本当に弱いんですね。」


「笑い事じゃねーよ!!笑い死ぬわ!!」


私から手を離して楽しそうに笑う淳太くん。

そんな淳太くんに叫ぶ私。