山々が見えて来た。さすがにこうなると緊張が走ってくることを避ける術は無い。下手をするとまた命を危険に晒すことになり、そうなった場合、今度は助からないような予感もしない訳でもない。 

「おっちゃん、僕達死なないよね?」

「いや、死ぬだろうな」

「えっ、何て?」

「だから、俺らは死ぬんだよ」

 えっ、わざわざ死ぬ為に向かってるって言うのかよ?そんな事は嫌だ。僕はまだ死ぬつもりなんか無いのに。 


「おっちゃん、車を止めてくれ。今すぐ止めて」

「アハハハハハ・・・・」
「はあ?冗談か?」

 おっちゃんの笑いはすぐには止まりそうも無く、それが僕をイライラさせてくる。 

「おい、おっちゃん」

「お前も楽しい奴だよなあ。こんなもん冗談に決まってるだろうよ。何でそれが分からないのかなあ」

 まだ笑ってやがる。いい加減、そのムカつく笑いは止めなさい。