「訓練?」

「そう、訓練だよ」

「何の訓練なんだよ」

 彼女の左手が更に力を帯びた。僕はたまらず眉間にシワを寄せ、彼女の左手を両手で掴んで解き放そうとしたがビクともしなかった。

「訓練ってさあ、色々とあるんだよ。こうやって人を殺すのも訓練の一つ。だから、どうあがいたって私の手から逃れるなんて事は不可能。どう、少しは分かってきた?」

 僕は、やみくもに頭を左右に振った。 

「分からないよ。なんで僕が殺されなきゃならないのさ。万引きの話は勘違いだって分かっただろう?」

「だからさあ、万引きの話なんてどうでも良いんだよ。私があんたを殺したい理由はねえ・・・・あんたが今やってる仕事のことさ」
 
 僕の仕事が原因で僕が殺されるって言うのか?   

「僕の仕事が何の関係があるんだよ」 


「お前、核兵器を操る超精密機械を開発してるだろう?そんな事をしてこのまま生きて行けるとでも思ってたのか?」