白い天井だった・・・・


 何故?そう思って何度ともなく瞬きをしてみたが、やはり天井は白いままで、僕はそこに見つけた一点の茶色のシミが不思議な形に見えると、ずっとそればかりを眺め続けていた。 

「あ、良かった。意識が戻ったんですね」 

 その声のする方向に顔を傾けると、それはすぐにバタバタという派手な音を立てて走り去っていき、僕の頭にキンキンと響く騒音だけを残して姿をくらました女性の声。

 ドア、開けっ放しで・・・

 そう思ったのも束の間で、ヒラヒラとした白い上着を羽織ったおっちゃんが姿を現すと、いきなり僕の手首を掴んできた。

 僕は驚いて腕を引っ込めようとしたが、おっちゃんの手は力強くて、その力に僕の腕は屈してしまった。