Memory~記憶の欠片~

〈律side〉





ベッドの近くにある椅子に座って壁に掛けてある時計を見る。


しーちゃんが気を失って数時間が経った。


あの後、光にぃの車まで運んでしーちゃんの家まで帰って来た。


朔にぃがしーちゃんを部屋まで運んでくれた。



僕はなにも出来なかった……。


「はあ……」



あの後、光にぃたちも看病したそうだったけど、用事があるから僕が看病を任された。


看病と言っても側にいることしか出来ない。



僕は未熟だから回復の術を使えない。



「はぁ……」



自分の未熟さに嫌気がさす。



その時、寝ているしーちゃんの瞼から涙が流れた。



「!?し、しーちゃん!?」



しーちゃんは昔から泣かない女の子だった。


しーちゃんは小さい頃から人よりいろんな事を背負って生きてきた。


僕たちも人より背負ってきた物は大きいがしーちゃんが笑顔でいてくれるだけで良かった。


僕たちはしーちゃんが泣いた所を見たことがない。


いつも僕たち4人はしーちゃんに助けて貰っていた。